※旧ブログからの転載になります。
今日はADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLESで扱うメーカーの紹介をしていきます。
第一回目はうちでも間違いなく扱うことが多くなるであろう、VELOCETTE (ヴェロセット)です。
ヴェロセットはイギリス第二の都市バーミンガムのVELOCE(ヴェロセ)
という会社が作っていたバイクのことを指します。
工業地帯でもあったバーミンガムにはBSAやNORTON,SUNBEAM,ARIEL等々、
古くから多くのバイク製造メーカーが存在しました。
BSAやNORTONが巨大メーカーだったのに対し、ヴェロセは家族経営のような小さなメーカーだったので、
BSAやNORTONとは比べようもないわずかな台数を製造していました。
どれ位規模が違うかというと、例えば59年から発売されたトライアンフのヒットモデルのボンネビルは、
時期にもよりますが年間平均10000台以上生産していました。
それに比べ当時のヴェロセットの主力車種VENOMは60年~最後の生産年である70年までの10年間でも3000台程度の生産数です。
これだけだと小さな会社で生産数が少ないだけに感じるかもしれませんが、
ヴェロセットは小規模のメーカーながら20年代から長きに渡り様々なレースにおいて輝かしい戦歴を残しています。
同時に特殊な技術も開発しており、今では当たり前に付いているシフトチェンジの位置が自動で決まるフットシフトを開発したのもこのヴェロセットなのです。
こういった小規模メーカーの多くは30年代~70年代にかけてどんどん他メーカーに吸収、
もしくは倒産消滅するのですが、
ヴェロセットは独自のスタンスを守りながらこの規模のメーカーでは異例の1970年まで製造を続けました。
とても小さな会社でありながら今でも世界中にたくさんのファンがいる由緒正しいメーカーなのです。
ここからはざっと簡単にですが年代ごとに代表的なモデルを紹介していきます。
ヴェロセは1910年代~1925年頃まで2ストロークの250㏄を主に製造していました。
そして更なる高性能を求め350ccのOHCシリーズ、通称Kシリーズを1925年に発売します。
KTT 350cc
KTP 350cc
KN 350cc
30年代に入ると量産型のOHVエンジンを搭載するMシリーズを発表。
MOV 250cc
MAC 350cc
MSS 500cc
40年代第二次世界大戦後にはLEを発表。
騒音や振動の少なさ等高品質さが認められ、更にイギリス警察でも使用されます。
ちなみに戦後まもなくKシリーズの一般販売はなくなり、Mシリーズが主力となっていくわけですが、
他のメーカー同様フロントフォークはガーダーフォークからテレスコピックフォークへ、リジッドからサスペンションやスイングアームを備えたバイクに進化していきます。
同じMシリーズでも戦前と戦後ではフロントフォークがテレスコに変わったりスイングアームに変わったりで随分印象が変わってきます。
MAC 350cc
50年代にはダートレースやアメリカ市場向けにSCRAMBLERが、
そのSCRAMBLERを街乗り用にしたENDURANCEが発売されます。
SCRAMBLER 500cc
SCRAMBLER 500cc
ENDULANCE 500cc
個人的にはここ数年ずっと戦前車にハマって乗っていますが、やっぱりこの辺は好きですね。
そして同じく50年代にはMシリーズに改良を加えたスポーツモデルVENOM、VIPERが発売されます。
VENOM 500cc
VIPER 350cc
VENOMにはCLUBMANやTHRUXTONなどバリエーションがありますが、
その辺は後日また詳しく紹介しようと思います。
とりあえず今回は簡単なメーカーの歴史と時代遍歴によるデザインの変化を書いてみました。
エンジン等機械的なことについてはそのうちメカニックが更新しますので、興味のある方は見て下さい。
あとよく聞かれるパーツはあるんですか? についてですが、
戦前Kシリーズはさすがに簡単に揃いますとは言えませんが、
戦後の物はみなさんのイメージよりも豊富にあります。
上で紹介したバイクは現地価格はもちろん差があって探せばある程度出てくるものや、
もはや年に世界で何台売りに出てるのか?みたいなバイクもあります。
もちろん国産車に比べればそれなりのお金と忍耐力は必要ですが、
ちゃんと走る英車に乗った人しかわからないすばらしい喜びが体験できますので、
興味のある方はぜひお問い合わせ、ご来店お待ちしております。
それではまた後日別のメーカーも紹介しようと思います。