※旧ブログからの転載になります。
前回ヴェロセットについて説明しましたが、
今回は英国車を語るには絶対に外すことはできない、ノートン(NORTON)の紹介です。
ノートンはある時期を境にエンジンをシングル(単気筒)からツイン(二気筒)にシフトしていくのですが、
今回はADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLESで主に扱う、単気筒エンジンのノートンについて書いていこうと思います。
ノートンは100年以上前の1898年に前回のヴェロセットと同じ工業都市バーミンガムで設立されました。
最初は自転車を製造していたのですが、その後すぐにバイクの製造も始めます。
当初は自社製エンジンを持っておらずフランスのプジョー等からエンジンを買っていたのですが、
1908年には自社製エンジンの製造を開始します。
英国車は過去存在していたメーカーの数や歴史の長さを見ても、
オートバイの歴史の中で世界有数の存在なのは間違いありません。
20年代~30年代にはレースで敵なしと言われるくらい強かった英国車ですが、
それ以前の1900年代や1910年代はずば抜けた存在ではありませんでした。
1920年代に入るとイギリスの各メーカーの技術が飛躍的に上がっていきます。
ノートンはその最たる例で、1924年のマン島TTレースで勝利し、その後1927年に新型OHC CS1エンジンを開発します。
更にその後そのエンジンを元に進化を続け、レースでは第二次世界大戦で中断する1939年までに幾度となく勝利し、輝かしい戦績を残します。
そういった信頼からか、その後起こる第二次世界大戦ではイギリス軍にも数多くのバイクを供給しています。
その後も会社の売却やツインエンジンを市販車の主力にする時期が訪れたりと歴史は続いていくわけですが、
今日は個人的な好みがこの時代までなので単気筒の話だけにしておきます。
あとバイクの歴史を説明するにあたってかなりの頻度でレースという表現が出てきますが、
今はバイクを買う時に現存するメーカーであってもレースの戦績を気にする人はほとんどいないと思います。
それは長い歴史の中で既にそのメーカーイメージが出来上がっている為であって、
古い時代は市販車のバイクを売るための最大の広告はレースで勝つことだったからです。
今から50年も前、もしくはそれ以上古い時代には情報を得る手段はとても少なく、
レースで上位にいるメーカーのバイクにみんなが憧れたのは言うまでもないと思います。
当時バイクメーカーのビジネスモデルは市販車を多く売る為に良い宣伝となるレースに勝つマシンを作ろうとするのですが、
それは市販車の販売の為のレースであって、ノートンの場合まずレースで良い成績を残す為に技術を追求し、
それを市販車にフィードバックして良い車両を販売するという、他とは一味違ったスタンスのメーカーなのです。
段々と話が硬くなってきたので、画像で代表的なモデルを紹介していきます。
同じモデルでも年代で形状が変わってきますが、とてもつもない量になってしまうので
その辺は各モデルを詳しく紹介する機会があればやりたいと思います。
まずは20年代、SV(サイドバルブ) のMODEL16H 500cc
OHVのMODEL18 500cc
20年代のバイクの多くは、フラットタンクと呼ばれるフレームの中にタンクが取り付けられているのが特徴です。
薄く長いタンクの造形はとても美しいですね。
ちなみにライトの有無とか16Hのホーンがラッパみたいなのが付いているのはオプションです。
モデルでのデザインの違いではありません。
当時の乗っていた人達の写真はこんな感じです。
ファッションもいわゆる第二次世界大戦後に確立される、
現代のバイカーファッションとは全く違うので興味深いですね。
そして20年代後半に開発されたOHCエンジン、
後にあのNORTON MANXに続く車種のMODEL CS1 500ccです。
いわゆるレーサーモデルで、350ccのMODEL CJもあります。
次は現代のバイクの形に段々と近づいていく30年代です。
サドルタンクという丸みのある形状のタンクがフレームの上に乗るスタイルに変化していっているのが特徴です。
まずはOHV MODEL ES2 500cc
MODEL18,ES2が500ccなのに対しこちらは350㏄のMODEL50
画像が増えるので載せませんが、もちろん30年代にもMODEL18は存在します。
そしてそれまでのトップモデルのOHC CS1エンジンを改良したMODEL 30 INTERNATIONAL 500cc
インターにも 350ccのMODEL 40 があります。
第二次世界大戦終了後の47年頃には他のメーカーと同じく、
テレスコピックフロントフォークが採用されより現代的なルックスに変化していきます。
OHV MODEL ES2 500cc
MODEL 30 INTERNATIONAL をさらに改良したレーサーモデルがMODEL 30M MANX 500ccです。
英車に詳しくなくてもノートンマンクスという名前はなんとなく聞いたことある人も多いと思います。
ちなみに5年間しか生産されていないのでめったに売りに出ませんが、
こんなスクランブラータイプもあります。
500T 500cc
かっこいい…..
他にもこれらから派生したモデルもありますが、
その辺は海外のディーラーが車両持っている時にでも紹介したいと思います。
で、実際買って乗ろうとなると現地価格はピンキリですが、
比較的入手しやすいのは20年代か30年代ならSVの16H、OHVの18と50、戦後であればES2辺りですね。
(派生モデルは除きます)
タイミングが合えば希少な車種もまだまだ入手できますが、その分現地価格も上がります。
古い英国車はここ5年くらいで大体ですが20%くらい現地価格が上がっています。
更に10年前は全体的にもっと安かったのですが、その時は別に安いとも思わないし、
逆に今が特別高いとも思いません。
今と比べたら昔は~~ なんてたらればの話は一生言われてると思いますので。
今後値段がどんどん上がるとか、買って損をしないとかは言いませんが、
間違いなく言えるのは、5年後、10年後には現在と同じ価格で選べる幅は必ず減るということです。
だって現時点で希少な英国車でも一部の物を除けば同時期のハーレーに比べればまだまだ安いですから。
とりあえずノートンシングルはこの辺で、近々また何か別のメーカーを紹介していきます。
ヴェロセットとノートンの紹介も済んだのでそろそろ海外にある販売車両も紹介していこうと思います。
ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES