motorcycle blog

WORKS

2015年01月21日(水)

Today’s Workshop

KSSmk2シリンダーヘッド第1次洗浄完了

150109 001150109 002

150109 003

かなり大変でしたが綺麗になりました。

ウェットブラストの方が早いし費用も頂きやすいのですが風合いを残すために手作業でゴシゴシしました。

150108 020

カム、ロッカーアーム

150108 022

KTTmk8カムであるK17/8が入っていました。

分解前に現状データ取りの為に色んな条件下でデータ取りをしたのですが、
どのカムのデータとも符合しませんでした。 何故だ?

150108 023

カムシャフト表面、一見綺麗ですがグラインダーで手削りしたあとペーパーで仕上げた様な表面です。 
ちょっと怪しいですね、これが原因でしょうか?

単体でデュレーション、オーバーラップ、ロブセンター等確認していきます。

150108 024
ロッカーアームカム側フェイシングはお約束通り段付き摩耗しています。
これは別に耐久性が無いわけではなく、おそらく新車時からずっと使われてきた結果と思われます。

摩耗による力点の変化もバルブタイミングの数値に異常が見られた一因かもしれません。

150108 026

 バルブ側は良好

150109 004
トップカムボックス

150108 014カムシャフト本体は結構摩耗が見られます。
数値にすればわずかですがヴェロのOHCはベアリングの位置によって
ベベルギアのバックラッシュを調整するので非常に重要です。

カムローブの嵌め合いは良かったですがハウジング側、ベアリング側共にガタガタユルユルでしたので直します。

150109 007
カムボックス側の軸受部もかなり荒れ、かじりが有りますので要修正です。

なかなか直しがいがありますね。

ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES

2015年01月17日(土)

Today’s Workshop

先日のKSSmk2のボトムエンドを分解すると~

150108 004

分解中嫌な予感がしていましたが

150108 005

ちょっと(かなり)まずいことになっています。。

150108 007
ケースを割る前にクランクシャフトエンドプレイを測定したところ、
結構大きい数値を示したのでまずいな~と思ったのです。 
(本来はゼロです。理由はご来店頂いた時にお話しします)

クランクが左右に暴れてクランクシャフトとビッグエンドナットがケースに接触、
クランク側もベアリングの座面がズタズタ、ベアリングとシャフト間もユルユルで空転してしまっています。

150108 009

ビッグエンドナットにクランクベアリングアウターレースが接触しています。

150108 012

スモールエンドも手ではピンが入りません。

150108 018

前回のオーバーホール時にわかっていたのかクランクシャフトに数か所ポンチ攻撃してあります。
ちょっと手ごわいですが頑張ってしっかり直します。

ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES

2015年01月14日(水)

Today’s Workshop

修理依頼のvelocette KSSmk2 現状確認の為分解します。

150104 001

ただでさえKSS/MSSのヘビーウェイトフレームモデルはプライマリーケース周りのクリアランスがタイトですが、
数本のカバースクリューのネジが舐めていて閉まりも外れもしないと言う状態で、
プライマリーケースが分解できません。

急がば回れで今回は整備しないギアボックスと共にゴッソリ降ろします。

 

150104 014
降りました。

プライヤー等駆使して何とかアウターケースを外してみるとインナーケースがグラグラ。
クラッチユニットを外してインナーケースを外すと

 

150104 017150104 018

ギアボックス、ケース間のコルクガスケット入っていませんでした。。

150104 026

ヴェロセットのエンジンの中でも1,2を争う抜き取りづらいシリンダーを抜き取ります。

150104 022

ウエスで隠してありましたがベベルハウジングのスタッドが片方ありません。

 

150104 024

やはり中で折れていました。

 

150104 011

カム、バルブ、ロッカーアーム等取り外したシリンダーヘッド。
一見綺麗ですが、、

150104 006

中々汚いです。

 

150104 008

バルブシートはベタ当たり且つ虫食い。
インテーク側のほうがエキゾースト側よりポート内に付着したカーボンが多いです。
オイル下がりだけでなくキャブクリーナーが変質したカーボンぽいです。

できればスプレーしてエンジン掛ければあら不思議!系のキャブクリーナーは使わないでください。
キャブレター内通路は綺麗になるかもしれませんがポート、
燃焼室内にカーボン等が大量発生して分解洗浄費用を5倍くらい頂きたくなる大変な作業になりますので。。。

経過は次回また。

ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES

2015年01月07日(水)

Today’s Workshop

先日のトライアンフタイガー90。
フレーム組み立ての前にその他の車体構成部品も点検整備しておきます。

フロントフォークはシール、インナーチューブ(英国的に言うとstanchionですね)
が死亡してましたので部品発注。その間に前後ホイールの点検整備です。

 

フロントブレーキ御開帳。。

141215 001

汚いです。

 

 

141215 002

サークリップ破損。

 

 

141215 005

ベアリングゴリゴリ。

 

 

141215 007

リアはボチボチ。

 

 

141215 008

フロントブレーキ。

シューの取り付けが逆。

 

 

141215 009

こちらはリア。これもシューの取り付けが逆ですね。

 

 

 

141215 011

ライニングが欠けております。

シューの減り、硬化、カムの当たり面のエグレ等あるんで張り替えでは無くフェロード製の新品に交換します。

 

 

141216 003 141216 001 141216 002

 

フェロードのシューはかなり作りが荒いのでバリ取り、修正して組み付けていきます。

新品パーツなのに取り付け可能な状態にするためひと手間ふた手間掛かります。
日本製パーツでは考えられませんが作ってくれているだけありがたいです。

ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES

2014年12月24日(水)

Triumph swing arm

中国地方のお客様よりエンジンオーバーホール依頼でお預かりしているトライアンフT90です。

エンジン以外でも気になるところがあれば整備してくださいとのことですので、
クランクリグラインドの外注加工待ちの間に入庫時から気になっていたスイングアームブッシュの交換をします。

141212 001

エイヤっと抜き取りました。

141212 018

外したスイングアームとOLDアンドNEWスピンドル、NEWブッシュ簡単そうに書いていますが結構大変です。
プレスで作業しますのでここまで分解しないといけません。

 141215 021

一番上の画像からここまでバラバラになりました。

ユニットの650、750系はもっと簡単に出来ますがユニットの350、500系と
プリユニットのスイングアームモデルはほぼ全バラ状態にしないと作業出来ないので大変です。

 とても地味ですが作業風景です。

 

141212 017

スチールバックの巻きタイプのスイングアームブッシュも無事入替完了。薄物ですので緊張します。

圧入した分内径が小さくなりますのでラインリーム後ラッピング、ホーニングで仕上げます。

その他にも要整備箇所があちこちに見つかりましたので続きはまた。

 

ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES
Mechanic 木谷

2014年12月19日(金)

Today’s Workshop

岡山県より修理車両の1959 Velocette VENOMが到着しました。

オーナー様はとても情熱のある方で自分で整備やエンジン丸ごとイギリスのレストアラーに送って
オーバーホールさせるなど色々されたみたいですが、
どうしてもエンジンがかからないとの事で機関、車体各部の整備依頼を頂きました。

 141215 013

キャブレターを分解点検取り付けしてエンジン始動の準備をし始動を試みるのですが掛かる気配がありません。
キックを繰り返すうちにキックリターンスプリングが折れてしまったので気を取り直して交換し
(スプリング交換時に別の不具合個所もみつかりました。。)
一応リビルト調整済みと聞いているエンジンの点検に入ります。

ロッカーインスペクションカバーのスクリュー、タイミングチェストのカバースクリューのネジ穴が
8か所も舐めているのを発見しつつバルタイ、点火時期の調整をします。

結果両方ともずれがありましたので点火時期はさっさと再調整、
バルブタイミングはカムのデュレーションを計測後ロブセンターを割り出し数回に分けて補正しました。

再度始動準備をしていざキック。


無事にかかりました。

あとはその他の不具合も修理してお客様にお戻しします。

ナンバープレートをみると最低でも15年近く走って無かったようです。
来春は日本の路上にヴェロセットがまた一台増えそうです。

 

ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES
Mechanic 木谷

2014年12月12日(金)

Today’s Workshop

写真見ただけで何のエンジンか分かった方は相当イカレテルかと思います。

写真 2

写真 3

1926年のREX ACMEに搭載されているblackburne社製の350ccOHVエンジンのシリンダー、ヘッド等ですが、
現状確認の為、分解点検しております。

この辺になるとパーツの供給は全くないと言っても過言ではないので、
部品が豊富なエンジンと違ったアプローチが必要になります。 大変ではありますが情熱で乗り越えます。

開けてみるとスリーブ打ち替え無しでスタンダードピストン!
ガイドもバルブも結構ガタガタですが今回はデータ取りに専念します。 
データ収集後は現状出来ることをやって組み立てに入ります。

どうやら腰上だけでもピストンリング、バルブ、バルブガイド、バルブスプリング、ローラーベアリング制作と色々制作しなければならなそうです。

そう言うと、とてもコンディションが悪そうですがこの辺の時代のエンジンは開けてみれば大体そんなもんです。 
一般的にオーバーホール時に交換するパーツ以外はほぼノーダメージの今回は大当たりと言って良いでしょう。

写真 1

大きなバルブにモダンなバルブ挟角!
フラットトップのピストンで圧縮を下げず且つバルブサイズも確保すると言う、
相反する条件を解決するブラックバーンの答えがこれだったのでしょう。

当時のブラックバーンエンジンチューニングに習ってヘッドガスケットレスの合わせ面ラッピングを施しました。

写真 4

それにしてもチューリップバルブはタコ棒くっつけにくいです。。。。。。

ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES

2014年12月06日(土)

Today’s Workshop

お客様の車両整備の合間に販売車両の整備も少しずつ進めています。
今日はその一部をご紹介します。

1951 Matchless G3LCのエンジンですが、始動性も良く全体的には程度良さそうでしたが、
実際分解してみると色々あります。

20141204 001

タペット、タペットガイドが摩耗してクリアランス過大でしたので抜き取り新品に交換します。
簡単そうに書いてますがマチレス、AJSのこのシリーズのエンジンは後からタペットを差し込めない構造ですので、
抜き取り時もまとめて抜き取ります。

タペットだけ抜き取れればその穴を利用して抜き取れるのですが、
構造上無理なので昔自作した交換用工具で押し出して外します。(プーラーと言うよりプッシャーですね)

20141204 009
自作プーラーです。

無事抜き取れたので新品をインストール。
嵌め合い距離が長いので緊張しますが、十分に加熱して無事挿入、一緒にカムブッシュも交換。

20141204 007
完了です。
ラインリーム後にカムシャフトエンドプレイを測定しておきます。

20141204 003
では続きはまた後日。

ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES

2014年11月29日(土)

Today’s Work shop

ベロセットベノムとMSSのシリンダーヘッドオーバーホール完了です。

MSSはウェットブラスト仕上げ、ベノムは徹底的に洗浄して仕上げました。
MSSは売約済みですがベノムの方は販売用製作車両のものです。

20141129-024

特別な事は何もしてませんがNEWバルブ、ガイド製作、セット長、シートカット、
修正面研等とフルコースの作業です。
小さな積み重ねが調子のよいバイクへと繋がります。

20141129-027

 

 あとはコイツを完成に向けて仕上げていっています。

 

20141129-030

 

 ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES

 

2014年11月23日(日)

Cammy Engine

先日紹介したのは戦後のノートンインターナショナルでしたが

今日のは1937年のCS1です。

こちらはマグネシウム製のカムボックス、鋳鉄シリンダー、シリンダーヘッドですので同じ
OHC500でも大分表情が違います。

 

20141122 029

腰上オーバーホールを施した後に何度も仮組、測定を繰り返し低速が犠牲にならず高回転も
気持ちよく回るバルブタイミングを探し出し組み上げました。

カムシャフトはインター用を使っていますが少し自己流にモデイファイしています。

 

20141122 030

 

始動させてみたところ中々良さそうです。

その他にもハーネス新規作成張替等作業も行いました。

明日より試乗に入り念入りにチェック、セッティングをして納車の予定です。

 

その他にタンクのさび取り(他のバイクの)をしたのですが、
錆取り前にざっと洗ってみると。。。。。

 

20141122 026

色々出てきました。(一部です)

みなさんタンク内の状況にも気を配りましょう。

次回は上のノートンCS1の試乗動画を掲載したいと思います。

ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES
Mechanic 木谷

2014年11月12日(水)

FROM WORKSHOP

本日よりワークショップ内での作業の一部を紹介もしていきます。

エンジンのドレンボルトネジ穴なめで入庫した1951年ノートンインターナショナルですが、
分解してみるとシリンダーに軽い抱きつき、バルブステムに曲がり、
EXバルブガイドホールがゆるくなった所に薄く切ったリン青銅を巻きつけて嵌め代のごまかし等見つかったので、
お客様と相談してこれを機にある程度問題のあるところは直すことにしました。

DSCN2295

 

 

ダミーケース、ヘッドを装着してボーリングして

 DSCN2301

DSCN2305

 

オーバーホールしたヘッドと共に一気に組み上げます。

その他もサクサクと進めたいところですがベベルのOHCですのでバックラッシュ調整等の為、
仮組、測定を数度繰り返す必要があります。

 

完成した姿はまた後日!

 

ADDICT CLOTHES VINTAGE MOTORCYCLES
Mechanic 木谷